2019年10月 この一冊


先日 祖母の米寿のお祝いをしました。
八十八歳・元気で目出度いことこの上なし。

菊川美容健康道場は祖母が始めたお店です。
私が小さい頃は祖母もお仕事に忙しく、家に帰ってくるのは本当に夜遅くなってからというのが常でした。
この祖母。せわしい毎日の中で時間を見つけては私に百人一首を諳んじさせることに熱心で、それはそれは一生懸命、身振り手振りを交えて教えてくれました。
おかげで幼稚園のうちに百人一首は覚えてしまい、かるたの中の十二単の女人に憧れる平安朝文化妄想少女が早々に出来上がりました。
今が八十八歳だから、当時は四十四歳くらい?
ちょうど私の今の歳くらい??
そう考えると、忙しい合間にあんなに情熱的に孫に和歌を教え込むだなんてすごいエネルギーだな!?と改めて感心するやらありがたいやらな思い出です。
覚えたはずの百首は、ごめんよ、ほとんど忘れてしまったけど、おばあちゃんのジェスチャーはちゃんと記憶に残ってるよ、楽しい記憶。
大人になっても平安時代大好きで百人一首も大好きなのはおばあちゃんのおかげだなあ。あとは前世かそのまた前世で平安時代生きてたかのどちらか。
実家に行くと今も祖母の傍に百人一首の本があることを嬉しいなあと思いながら、私は私の好きな百人一首本を集めて味わっています。
大人になっていろいろな読み方感じ方が深まっていく喜びは大きい。
が、美しい和歌の情景に浸ろうとするも、おばあちゃんのおもしろジェスチャーがパッと頭をよぎるのがなぁ、ちょっと難点であるよなぁ。


今月の一冊

『私の百人一首』 白洲正子 2004年