2019年9月 この一冊
先日、「本とプリン」について書きましたが、その前日にも私は本の会に参加してきました。
岐阜市立図書館主催の「本の語りBar」です。
〈旧岐阜町周辺で10 のお店やお寺が本棚を置いて、みんなで共有するまちの小さな図書館。それがぎふまちライブラリーです。ぎふまちライブラリーの店主たちと語り合いませんか?参加者はテーマにあった本を1冊紹介してください。-HPより転載〉
この夜私が持って行った本は
「ラインマーカーズ / 穂村弘 」。
参加するテーブルのテーマを聞いてすぐ頭に浮かんだのが穂村さんの短歌でした。
いつから好きなのだろなあ、穂村弘という人のこと。短歌もエッセイもどれも好きで、虜。
そうそう、絵本もあったしね。歌人同士の問答歌も。作品を挙げたらきりがない。
百人一首を諳んじていたこどもの時の様にはいかないが(当時は和歌を覚えることに夢中であった)、携帯電話の十一桁を覚えるより穂村さんの短歌の方が記憶に残る確率が高い。
十一個の数字より三十一個の文字が私には大切なんだろう。
ズレ・違和感・戦慄・世界がぐにゃりと歪んだ
その瞬間の居心地の悪さを見せられたかと思えば
甘い・痛み・切ない・あなたとわたしだけの今
だなんて感じの言葉の連なりで横っ面はたかれるみたいに激しく揺さぶられたりするのが穂村弘です。
危険です。
見た目は大変に優しげで眼鏡かけてほわわ〜っと微笑んでいるのに、全く容赦なくこの世界を千切ってゆく穂村弘の底の見えなさ具合に、いつもいつもノックアウトされてしまう。
あーあ、困ったなあ。弱るなあ。
忘れたり思い出したりを 繰り返し繰り返し。
四百首の歌が待っている一冊です。
一生愉しめます。
今月の一冊
『ラインマーカーズ』 穂村弘 2003年
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