2019年3月 この1冊
「食べてるときだけ良い顔する子だ」
と幼いときに母親に半ば呆れ顔でそう言われたのは、まぎれもない、この私です。
四十をすぎても私の幸福ポイントは変わらずで、食べることにはまあ貪欲。
選書の傾向にもそれは如実で、どうも本からいい匂いがしてくるようで、そういうものを手に取ってしまいます。
予想通り文中に美味しいものが出てくると、やったとばかり妄想力にも読書のスピードにも拍車がかかるわけで。。。
文字から湯気まで伝わってくるような1冊に出会うとおなかがぐーぐー鳴ってしまいます。
しかし食の描写は難しい。
美味しさの表現が単発な者からすると文字の連なりで読者の胃袋まで刺激できる作者の力量というのは、敬服するばかり。
この1冊はまさにそういう本で、読みながら頭の中ではもう、今すぐ電車に飛び乗って京都のあの中華のお店まで走って行っている。「いつか」じゃなくて「今すぐ食べたい!」と思わせる素晴らしく食いしん坊には目の毒な本なのであります。
文章もさることながら写真がまた!
美味しそぉーー!
ああ、いけない。
読み返していたらまたおなかが鳴り始めた。
痺れるような麻婆や、味のまあるい焼飯。。。
食べたいなぁ。
作者の姜尚美さんの本、他に確か何かあったようなと、
本棚を探したらありました(笑)。
あんこも良いんだよなあ。。。
今月の一冊
『京都の中華』/ 姜 尚美 2016年
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