2019年5月 この1冊
令和となって早1か月。
「H31」と書かずに「R1」と書くことにもようやく慣れてきました。
奈良時代・平安時代に、こどもの頃から憧れを抱いている自分としては、元号が万葉集からの引用であることに、単純に素直に喜びを感じました。
初春令月 気淑風和
梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香
月 梅 蘭 風 。。。 美しい空気とたおやかな香りが 漢字の連なりから漂ってくるようです。
遙か昔に生きた人がのこした言葉には、自然への畏怖と憧憬が常にありますね。
無常な世の中にあってもその時目に映ることや感じることは永遠になる
そういう思いが連綿と受け継がれ、ちっぽけな存在にすぎない自分の中にも 時空を超えて、確実に在り続けているんだなあ
自然の美しさと共にあって、それを文字や和歌にして残していた時代だから そういうものに触れるとすごく心ときめくんだなあ、と思います。
万葉集素晴らしい、ありがとう。
幼い頃、祖母のスパルタ教育の賜物で百人一首を暗記していたこともあり
(なにしろ毎日毎日繰り返し叩き込まれていた笑)1000年以上昔の言葉を身近に感じていました。
手に取る漫画も、あんなのやこんなので ↓ 。
万葉集の代表的な歌人 額田王も漫画が教えてくれました。
これらを経て、王道的にこちらを読みふけり
古典大好き少女が早々に完成したのです。
今も天平や平安をモチーフにしたものが目に留まりやすく 居てもたってもいられなくなる笑。
今月もレンタルショップで 冒頭の画像の漫画が視界に入り「わっ!」と全巻手に取っていそいそと帰宅、没頭して全13巻をあっという間に読んでしまいました。
面白かった、ほんとに。
「とりかえばや物語」は平安後期の作者不詳の作品です。
男性と女性が入れ替わって繰り広げられる宮中での物語ですが、奇抜な設定でありながら
人間描写が大変優れており、この現代社会に置き換えて考えても、取り入れてみたらきっと良いんだろうという智慧や機微が多くみられます。
さいとうちほさんの漫画はとにかく絵が美麗で昔から大好きですが、この作品もほんとうに美しくて、深くて、読み終わった後はほぉーっとため息が出ていました。
相聞の漢詩や、色を重ねた装束、暦にそった儀式典礼の数々、読みながらタイムスリップしたみたいに没頭して楽しめました。
久しぶりに漫画を読みふけり、とても楽しい一夜。
この次は「あさきゆめみし」を大人買いしようかどうしようか、と古典熱に火がついております。
今月の1冊
『とりかえ・ばや』 さいとうちほ
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